ビデオ会議が途切れる原因の大半は、回線の速度不足ではなく接続の不安定さです。ZoomやTeamsに必要な通信量は高画質の動画視聴より小さく、動画が普通に見られる家なら速度は足りています。
それなのに会議だけ固まるのは、リアルタイム通信の性質によるものです。この記事では、なぜ速度が足りていても途切れるのかを説明したうえで、効果の大きい順に直し方を解説します。
なぜ速度が足りているのにビデオ会議だけ途切れるのか
ビデオ会議は「リアルタイム通信」です。動画配信は数十秒先のデータを先読みしてためておけるため、通信が一瞬乱れても再生は止まりません。一方、会議の映像と音声は「今この瞬間」のデータをやり取りするため、ためておくという逃げ道がありません。
つまりビデオ会議で問われるのは、平均の速度ではなく品質の安定性です。具体的には、①一瞬の切断、②遅延の揺らぎ(データの到着間隔がばらつくこと)、③パケットの取りこぼし(データの一部が届かないこと)の3つが敵になります。
この3つのどれかが起きると、映像のフリーズ・音声の途切れ・「声がロボットみたいになる」現象として現れます。速度測定の数値が十分でも会議が乱れるのは、この安定性の問題が数値に表れにくいためです。
ビデオ会議を安定させるにはどうすればいいのか
原因として最も多いのがWi-Fiの電波の不安定さです。まず確認すべきは、接続している周波数帯です。2.4GHz帯は電子レンジ・Bluetooth機器・近隣のWi-Fiと干渉しやすく、揺らぎの温床になります。ルーターが対応していれば、5GHz帯のSSID(末尾に「5G」「A」などが付く名前)に接続を切り替えます。
次にルーターとの位置関係です。ルーターと作業部屋の間に壁・水槽・金属棚があると電波は大きく減衰します。ルーターを床置き・棚の奥・テレビの裏から出し、できるだけ見通しの良い高い場所に置くだけで安定性は変わります。
そして最も確実なのが有線LAN接続です。LANケーブルでパソコンとルーターを直結すれば、電波の干渉・距離・障害物の影響をすべて排除できます。在宅勤務でビデオ会議が業務の中心なら、有線接続を基本にするのが最強の対策です。
なぜルーターとONUの再起動で直ることが多いのか
Wi-Fiの設定を見直しても不安定なままなら、次はルーターとONU(回線の終端装置)の不調を疑います。これらの機器は長期間動かし続けると内部の処理が滞り、一瞬の切断や取りこぼしを起こしやすくなります。
対処は再起動ですが、順番が重要です。電源を入れる順番を間違えると接続情報が正しく引き継がれず、かえって不安定になります。正しい手順はONUとルーターの再起動手順で詳しく解説しています。
再起動しても数日で症状が再発する場合、機器の劣化が疑われます。使用5年を超えるルーターは、安定性の面でも買い替えの目安です。
夕方や夜の会議だけ乱れるのはなぜか
昼間の会議は問題ないのに、夕方以降の会議だけ固まるなら、原因は回線の混雑です。利用者が集中する時間帯は、回線とプロバイダーの接続ポイントが渋滞し、遅延の揺らぎと取りこぼしが増えます。
これは家の中の対策では解決できません。有効なのは、接続方式をIPv6(IPoE)に切り替えることです。従来のPPPoE接続は混雑しやすい経路を通りますが、IPoEは混雑ポイントそのものを避けて通信します。仕組みと切り替え方はIPv6の仕組みで解説しています。
契約中のプロバイダーがIPv6対応でも、申し込みやルーターの設定が必要な場合があります。マイページで契約状況を確認し、未適用なら切り替えを申し込みます。
マンションで対策しても直らないのはなぜか
マンション住まいで、有線接続・再起動・IPv6化をしても不安定なままなら、建物内の配線方式を確認します。建物の共用部から各部屋まで電話線でつなぐVDSL方式は、光配線に比べてノイズの影響を受けやすく、安定性の面で不利です。
壁の差し込み口が電話線用(モジュラージャック)ならVDSL方式です。この場合の改善策はVDSLの速度改善にまとめています。建物によっては光配線方式への切り替え工事ができるケースもあります。
家族の同時利用が会議を乱すのはなぜか
会議の最中に家族が動画を見たり、ゲーム機が大容量のダウンロードを始めたりすると、家の中で帯域の取り合いが起きます。特にダウンロードは回線を一気に占有するため、会議のデータが押し出されて途切れの原因になります。
対策はシンプルで、重要な会議の時間帯は大容量通信を避けてもらうことです。ゲーム機やパソコンの自動アップデートは、設定で深夜に実行されるように変更できます。ルーターによっては、特定の端末の通信を優先する機能(QoS)を備えたものもあります。
それでも直らないときはどうすればいいのか
ここまでの対策をすべて試しても不安定なら、原因は回線そのものにあります。どの段階に問題があるか整理し直したい場合は、つながらない時の切り分けで端末→ルーター→建物→回線の順に確認できます。
回線側が原因と確定したら、乗り換えが最終手段です。在宅勤務で会議が仕事の生命線なら、IPv6標準対応で安定性の評価が高い回線を選ぶ基準を在宅勤務向けの回線選びにまとめています。
この記事のまとめ
- ビデオ会議が途切れる原因の大半は速度不足ではなく、接続の不安定さ(一瞬の切断・遅延の揺らぎ・取りこぼし)
- 必要な通信量は動画視聴より小さいため、動画が見られる回線なら速度は足りている
- 最優先の対策は5GHz帯への切り替えとルーターの置き場所の見直し。有線LAN接続が最も確実
- 夕方・夜だけ乱れるなら回線混雑が原因。IPv6(IPoE)への切り替えで混雑を避けられる
- 機器の再起動・VDSL対策・家族の同時利用の調整でも直らなければ、回線の乗り換えを検討する